見た目年齢を左右する白髪。白髪が出始めると、何とかして白髪染めに頼らずに元の黒髪が生えてくる方法はないものかと色々と検討してはみるものの、これといったものを見つけることができず焦る気持ちばかりが募ってしまうという心境になる人が多く見受けられます。
白髪は平均して40代前半から目立ち始めますが、年齢だから、または白髪が生えてくるのは遺伝的に仕方がないと思い始める前に、ぜひ試していただきたいのが、白髪に効く漢方薬の活用です。
漢方薬とは、自然界の植物などの生薬を複数組み合わせた薬です。漢方は中国由来のイメージが強いですが、中国では一般的に中医薬と呼ばれており、中国医学に日本独自の体系を取り入れたものを漢方と言います。
白髪に効く漢方薬の力を利用することによって、体の内側から体質改善し、若々しく黒々とした髪の毛を生えてくる可能性を秘めている、それが漢方薬による白髪改善法です。
白髪に効く漢方薬は基本的にどのようなものがあるのか、どのようにして日常生活に漢方薬を取り入れればよいのかなど、白髪に効く漢方薬全般についてご紹介します。
白髪の改善自体を目的とする漢方薬はない
白髪そのもの自体を黒髪にする目的の漢方薬は存在していません。
その理由としては、漢方の世界からみる髪の毛のケアに対する基本的な考え方として、髪の毛の健康状態もまた、体の健康があってこそ、からだが健康だから髪の毛も健康になるという考えが根源になっているからです。
「髪は血余なり(かみはけつよなり)」
これは中国漢方の古典にある有名な言葉で、髪は血液の余りであるという意味の言葉です。
血があり余るほどのあふれんばかりのエネルギーに満ち溢れている元気な状態を体が維持していれば、必然的に髪の毛もふさふさとして若々しい状態でキープできるという事です。
「髪は腎の華(かみはじんのはな)」
こちらも中国漢方で考えられている髪の毛に対する意識を表した言葉で、五臓六腑を表す腎が髪の毛の状態をもつかさどっている事を意味しています。
この腎の働きが弱まっていたり機能不全に陥っている場合には、髪の状態も悪くなるということになります。
髪のトラブルがみられる、例えば抜け毛や薄毛、白髪や頭皮トラブルがある場合には、体内の腎にも何かしらの不具合があるという考え方です。
白髪の原因となる内的要因
白髪になってしまう内的要因としては、慢性的な栄養不足、栄養バランスの乱れ、さらに血行不良やストレスなど、さまざまな要因が考えられます。
しかしどの要因もみな、生活習慣や日常生活の過ごし方に大きく影響されるものばかりだというのがわかります。
白髪の生える場所で内臓の不調をチェック
漢方の考え方によると、白髪が生えてくる場所である程度の内臓機能の不調がわかるとされています。
内臓が悪くなることで白髪の生える部分が異なるケースは意外に多く、内臓疾患の手掛かりになるかもしれません。一つひとつチェックしてみましょう。
前頭部:胃の不調
前頭部に急に白髪が増えたり、白髪の量が目立つとき、胃の状態があまりよくない場合が多々あります。
胃の不調がある場合には、前頭部の白髪にも注目してみましょう。
側頭部:肝の不調
側頭部に白髪が目立つという人は、肝の不調が隠れているかもしれません。
物言わぬ臓器としてかなり悪化するまで肝は自覚症状がない状態のまま病気が進行してしまいますから、側頭部に白髪が目立つようであれば、一度肝の不調を調べてみると良いでしょう。
後頭部:腎の不調
後頭部に白髪が出てきてしまう、急に増えてきた場合、腎の不調が疑われるケースが多くなります。
腎とは、腎臓を含めた内臓を指します。
あまり普段は目にすることのない後頭部ですが、健康管理と白髪予防のためにしっかりと目を通すようにしましょう。
漢方からみるタイプ別・白髪の原因とおススメ漢方薬
ではここからはタイプ別・白髪の原因とその白髪に効果のある漢方薬をご紹介していきます。
漢方の世界から見て、どの白髪の症状にどの漢方薬がマッチしているのかを一つ一つご紹介していきますので、自分の白髪のタイプを見極め、生活の中に積極的に漢方薬を取り入れて白髪対策をしてみましょう。
血虚(けっきょ)
漢方では血虚は血液が不足している状態を意味し、男性より女性に多くみられます。
貧血症状のほか、栄養や老廃物を運ぶ血液の力も不足している事になります。
貧血のような症状となる、めまいや立ちくらみのほか、乾燥肌や敏感肌、しわやカサツキなどの肌トラブル、顔色が優れない、抜け毛が多くなるなどの症状が見られます。
その他にも、月経の遅れや経血量が少なくなる、爪が割れやすい、不眠や不妊症という症状に悩まされることもあります。
血虚改善のための漢方薬としては、血液のめぐりを良くし、からだを温める効果のある当帰芍薬散、冷えた体を芯から温める効果のある鹿茸などが効果的です。
腎虚(じんきょ)
女性ホルモンの減少にも関係しているのが腎虚で、内分泌系や免疫機能など体の内側の機能が全体的に衰えてくるというものです。
一言で言うと老化現象ということもでき、骨、脳、耳や目、生殖機能や排出機能、髪の状態も悪くなってきます。
その他にもこうした体の内側の機能低下に伴う、物忘れや思考力の低下、脱毛や排せつ機能の低下などに陥ってしまいます。
腎虚を予防するための漢方薬としては、補腎薬の漢方薬が効果的になります。補腎薬の中には、牛車腎気丸、八味地黄丸、六味丸といった漢方薬が良いでしょう。
症状に合わせて補腎薬を使い分けることで、ピンポイントで改善したい点にアプローチしていくことができます。
気虚(ききょ)
漢方で気虚はいわゆる「気」が不足しているという状態を意味していて、生命エネルギー不足の体質の人を指しています。
見るからに色白で細身、覇気がないという人は気虚タイプになります。
症状としては、疲れやすく集中力がない、朝起きられない、風邪をひきやすい、胃腸が弱いという特徴があります。
その他にも不妊症、不正出血や子宮脱、むくみやPMSが酷いなどという代表的な症状が見られます。
気虚を改善するための漢方薬としては、体に元気を補う党参、薬用人参のほか、唱三仙もおすすめです。
漢方薬はどこで処方してもらえるの?
では、実際に漢方薬を利用してみたいと考えたときには、どこで処方してもらえるのでしょうか。
漢方薬は自分が自覚している症状だけで自己判断せず、漢方の専門家に相談することが望ましいといえます。
より高い効果を発揮させるためにも、漢方薬を利用する際には、漢方の専門家やプロの意見を仰ぎ、相談してから利用するようにしましょう。
漢方薬局
漢方薬を処方してくれる場所として真っ先に思いつくのが、漢方薬局ではないでしょうか。
漢方専門の薬剤師がいるので、自分の症状を伝えるだけで、しっかりと体の改善したい部分にアプローチすることができる漢方薬を処方してもらうことができ、安心して漢方薬の効果を体に取り込むことができます。
品質も漢方薬局であれば基本的に専門店になるので、良い品物が置いてあることが確実で、高品質な漢方薬の高い効果を実感することができるでしょう。
ただ、漢方薬局の難点として、確かに品質が良い漢方薬を扱っているものの、保険適用外で支払わなければならなくなるため、経済的負担が非常に大きいということが言えるでしょう。
病院・漢方外来
病院や漢方外来で処方される漢方薬であれば、保険適用の範囲内で支払うことができるため経済的負担も少なくて済むでしょう。
しかし病院や漢方外来で処方される漢方薬は種類が制限されているため、どんな漢方薬でも処方してもらえるというわけではありません。
さらに体の不調を治すための処方となるため、白髪を治すために漢方薬を処方するとなると保険適用外の扱いになってしまいます。
ドラッグストア
ドラッグストアなどで購入する漢方の市販薬は、値段も手ごろでいつでもどこでも購入できるので、手軽に漢方薬を利用することができるメリットがあります。
しかし、漢方薬局や病院で処方される漢方薬に比べると、生薬の量が非常に少ない割には値段がそれなりで、割高でしょう。
また市販の漢方薬の組み合わせ方次第では、成分を摂取しすぎてしまうケースも少なくないため、健康被害や体に何かしらの害を与えてしまうリスクもあります。
漢方薬で白髪が改善されるまでに要する期間
漢方薬の効果によって白髪が改善されるまでに要する時間は、その人の体調、それまでの生活習慣や食生活、生活サイクルなどによっても異なってきますが、すぐに劇的な効果が漢方薬であらわれるわけではありません。
東洋医学の漢方の考え方に従ってみても、体の内側の機能が改善され、血が満ち足り、その血も生命力に満ち溢れている状態に戻ってから、初めて白髪を改善することができるような内側の機能回復が認められるようになるのです。
白髪を改善するために漢方薬を利用してみたけれど、すぐには効果が出ないからと諦めず、まずは体の内側の腎や血の状態を改善するという事を念頭に置き、根気よく漢方薬を継続することが大切です。
生活習慣も改善すると漢方の効果が上がる
漢方は白髪の原因を解決するために有効ですが、白髪自体を治す「薬」ではないため、白髪に効く漢方薬を利用すると同時に、生活習慣も改善してみるようにしましょう。
白髪改善のためには体内の状態も良好にすることが非常に効果的です。白髪に効く漢方薬の利用と同時に、生活の見直しも行ってみましょう。
食生活に薬膳を取り入れる
健康のためには、日々の食事から色々な栄養素をバランスよく摂取することが必要なのは言うまでもありませんが、効率的に白髪を改善するために中医薬の考えに基づいた薬膳の考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。
薬膳というと、生薬用の特別な食材を用いた食事のイメージがありますが、身近な食材にも薬膳に使われているものがたくさんあります。
血虚に効く食材
血虚に効く食材には、にんじん、ほうれん草、レバー、イカ、タコなど挙げられます。
ライチやぶどうなど、酸味・甘味のあるものもおすすめ。
腎虚に効く食材
加齢によってなりやすい腎虚には、海藻や黒豆や黒ゴマなどの黒いものがよいと言われています。
また、ミネラルの中でも亜鉛が不足すると女性ホルモンのバランスが崩れ、腎虚の主な要因である生理不順につながるため、栄養豊富な食材である牡蠣もオススメです。
気虚に効く食材
気虚に効く食材には、かぼちゃ、きゃべつ、生姜、山いも、大豆、ごま、鶏肉などが挙げられます。
苦みのあるものや、刺激の強い食材は避けてください。
質の良い睡眠をとる
白髪を予防するためには、十分な時間確保し、内臓や細胞が寝ている間にしっかりと修復されるようにすると、寝ている間に分泌されるホルモン量が確保できるようになります。
特に、よく夢を見る人は眠りが浅い傾向がありますので、夜12時前には必ず眠りにつくようにしましょう。
適度な運動をする
日頃から適度な運動をすることは、頭皮を含めた体全体の血行を良くするため、白髪予防に大きな効果があります。
頭皮のケアをする
頭皮マッサージやヘッドスパなどを取り入れ、頭皮の状態を良好に保つようにするのも効果的です。
今ある白髪は頭皮に負担をかけずに染める
いま白髪として生えている髪の毛は、漢方の力をもっても黒くすることは不可能で、染めるしかありません。
ところが、一般的に用いられている白髪染めやヘアカラーは、頭皮や髪の毛に負担が大きく、さらに白髪を増やす原因となっています。
ヘアマニキュアやヘアカラートリートメントといった、頭皮に負担のかからない方法で染めることが大切です。
また、染める間隔や回数、アフターケアを工夫して、最低限のダメージに抑えるように努力してください。
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まとめ
古来から東洋医学でさまざまな人の体のトラブルに自然由来の力を発揮してきた漢方薬、その漢方薬の力を効率よく取り入れることで、現代医学では治療することができない白髪も、少しずつ予防し、改善していくことができるでしょう。
白髪に悩むようになったら、白髪染めで隠すだけではなく、自分の体が発しているSOSのサインを見極め、体の中から白髪になりにくい環境を築いていくために、漢方の力を借りてみませんか。
また、自己判断で漢方薬を利用するのではなく、専門家の意見を取り入れることも非常に重要です。
それぞれの漢方薬の得意とする事、組み合わせやタイプ別の効果を見極め、白髪に効く漢方薬の効果を、しっかりと体の内側から発揮させることができるようにしましょう。
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吉川みさと
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