私たち人間の肌が弱酸性であるということは広く知られ多くの人に認識されていますが、頭皮も肌と同じように弱酸性という性質を持っていることをご存じでしょうか。
しかし、白髪染めはというと、実は頭皮と反対のアルカリ性となっています。
頭皮が敏感肌で白髪染めをするとかぶれてしまったり、湿疹になってしまう、かゆみや痛み、頭皮トラブルが起こってしまうという人は、白髪染めに配合されている化学成分が原因となっているばかりではなく、このアルカリ性に肌が負けてしまっているということも十分に考えられます。
特に敏感肌で肌が弱い人は、このアルカリ性に対しても弱いと言えるでしょう。
そこでヘアカラータイプの白髪染めでカラーリングすることが難しい敏感肌やアトピーの人でも白髪ケアをあきらめないために、アルカリ性の刺激成分やアレルギー成分を含まない白髪染めでカラーリングする方法についてもご紹介します。
敏感肌でも頭皮に優しい白髪染めを使えば、きれいに白髪を目立たなくすることができます。
敏感肌とは
まずは、敏感肌の定義について、分類や症状の判別が難しいアレルギーとの違いなどから見ていくことにしましょう。
敏感肌になりやすい時期として最も多くの人が悩むのが、産後などの体内のホルモンバランスが大きく変動する、バランス自体が崩れるような時期になります。
妊娠出産後は、平常時とホルモンの種類や分泌量が大きく異なります。
このような内分泌が変動したリ、普段と異なるバランスになり崩れてしまうような時期には、特に敏感肌になりやすいので注意しましょう。
白髪染めに配合されている「ジアミン」という成分によるアレルギーの場合、白髪染めをしてからある程度時間が経過してから頭皮にトラブルを発症することが多くなります。
普段使っている白髪染めを使用したにもかかわらず、急に発症するようになったりする場合が多いでしょう。
敏感肌でもジアミンに反応してしまうことはありますが、敏感肌の場合、主に頭皮トラブルや肌荒れの原因となるのは、頭皮や肌の弱酸性と真逆のアルカリ性という性質によって起こることが多くなります。
一方で敏感肌の場合、アルカリによって肌のバリア機能が低下してしまい肌の炎症が起こります。アレルギーよりは痛みや痒みも比較的軽微で、炎症もあまり広範囲に及ぶことがありません。
尋常なかゆみや痛み、腫れや湿疹がある場合にはアレルギーを疑うようにしましょう。
白髪染めには敏感肌に危険な成分がいっぱい
今やたくさんの人が気軽に白髪を染めることができるアイテムとして使用しているアルカリカラーの白髪染めは、ドラッグストアだけでなくスーパーやコンビニエンスストアでも手軽に購入することができるようになりました。
クリームタイプや泡タイプなど、使い勝手に応じて様々な種類の白髪染めが発売されていますが、2剤式であることに変わりありません。
白髪染めに配合されている成分の中には敏感肌に危険な成分も多数あり、そのうちのいくつかは皮膚から体内に吸収され体に残留してしまい、体の中に溜まってしまうタイプのものもあります。
白髪染めに含まれる化学物質
では実際に、白髪染めに含まれている危険な化学成分、化学物質にはどのようなものがあるのかを見ていくことにしましょう。
体内への残留性、排出が困難な化学物質の中には非常に危険な成分も含まれています。
酸化染料(1剤)
まずは白髪染めの1剤と呼ばれる酸化染料に含まれている化学成分について見ていってみましょう。
この1剤である酸化染料には、おもにパラフェニレンジアミン(p-フェニレンジアミン)という成分が多く含まれています。その他にもたくさんの化学成分が配合されています。
- パラフェニレンジアミン(p-フェニレンジアミン) – Wikipedia
- パラアミノフェノール(硫酸塩)- Wikipedia
- メタアミノフェノール
- アミノオルトクレゾール
- ニトロ1.2フェニレンジアミン
- 塩酸メタフェニレンジアミン
- 硫酸トルエン2.5ジアミン
など
アルカリ剤(1剤)
白髪染めの1剤には、染料だけでなくアルカリ剤という、髪の染料を髪内部に浸透させ入り込ませるためにキューティクルを無理やり開かせるための成分も配合されています。
酸化剤(2剤)
2剤に配合されている酸化剤という成分には、髪の色を抜く、いわば髪を脱色する脱色剤としての役割があり、髪の毛の内部に白髪染めの成分を入れ、1剤と化学反応を起こさせて髪に色を定着させる役割の化学成分が配合されています。
2つの薬剤による化学変化によって、白髪染め特有の刺激臭が引き起こされます。
白髪染めが引き起こす怖いアレルギー
次に白髪染めが引き起こすアレルギー、その中でも重篤な症状が出てしまう危険性の高い成分について紹介していきます。
たかが白髪染めと注意を怠ると、完治まで非常に困難な症状や、取り返しのつかないアレルギー反応に陥ってしまうこともあります。
ジアミンアレルギー
白髪染めに配合されているジアミン系の成分によるアレルギーの症状としては、皮膚の炎症や痒み、痛み、かさぶたができるなどのほか、顔やまぶたの方まで腫れあがってしまう、頭皮がジュクジュクとした状態になるなどです。
白髪染めをしてから数時間経過してから発症することが多いのが特徴です。白髪染めの薬剤が触れていない顔やまぶた、首元まで腫れてしまうこともあります。
症状の出方や症状の重さは人によって大きく異なりますが、時には嘔吐をしてしまったり呼吸困難になるなどアナフィラキシーショックを発症してしまうケースもあるので注意が必要です。
アルカリアレルギー
アルカリ剤がもたらす症状としては、薬剤を使用したときに頭皮や肌がチクチクしたり、カーッと急に熱くなったような感じがするという一時的なものが主な症状となります。
これは頭皮や肌のバリア機能が低下していたり、アルカリによってバリア機能が負けてしまうことによる症状です。
この症状を予防するには、敏感肌の場合に限らず頭皮に保護クリームを塗ることが最善の策です。
パッチテストは毎回行う
白髪染めをする際に気をつけたいポイントが、パッチテストです。
白髪染めに含まれている成分が自分の体質や体に合っているか、アレルギー症状を引き起こすジアミン系薬剤は配合されていないかという事を確認するものですが、一回目はしたけれど二回目以降はパッチテストをしていないという人も多いのではないでしょうか。
これは大変危険な行為で、年齢やその時の体調、体の状態によっては、前回異常が起こらなかったとしても今回は起こってしまう可能性をしっかりと確認しておく必要があるからです。
人間の体内で起こるホルモンバランスは簡単なことで崩れてしまいます。
自覚症状がないまま、気が付かないうちにホルモンバランスが崩れ、敏感肌の状態になってしまっていることもあるのです。
ホルモンバランスを崩す要因は、身の回りにたくさん広がっています。
睡眠不足、過労、ストレス、不規則な生活やダイエット、更年期障害など、たくさんのきっかけでホルモンバランスが乱れてしまうということを知っておきましょう。
アレルギーを発症してしまったら?
では、ここからはもし白髪染めをしてアレルギー症状を発症してしまった場合の対処法について見ていくことにしましょう。
いつもは何でもなく白髪染めをすることができていたのに、ある日突然アレルギーを起こしてしまうということも少なくありません。そんな時のために正しい対処法を身につけておきましょう。
使用を中止し、すぐに病院へ
まず第一にすべきことは、すぐにその白髪染めの使用を中止し、専門家の指示を仰ぐために病院を受診することです。
受診する際には使用した白髪染めに配合されていた成分がわかるように、パッケージや成分のメモ、注意書きなどを持参すると良いでしょう。
ジアミンアレルギーは一生治らない
一度でもジアミンアレルギーを発症してしまうと、次にジアミン入りの白髪染めをした時にもアレルギーを起こしてしまいます。
初回よりも重篤な症状を引き起こすことが多いので注意が必要です。ジアミンアレルギーを起こした場合には、二度とジアミン入りの白髪染めを使用してはいけません。
敏感肌の白髪染め選びのポイント
では、敏感肌の人はどういった白髪染めを使用して白髪に対処したらよいのでしょうか。
白髪染めの中でも敏感肌の人が使用できるものというと、天然成分でできたもの、無添加のものなどがありますが、例えば植物由来のものでも化学薬品が含まれるものもあるためチェックが必要となります。
敏感肌なら天然成分
敏感肌の人は何といっても自然由来、天然成分を配合してある白髪染めを使用することが大切です。
化学成分で染めるのではなく、自然の力を利用して染めるタイプの白髪染めを選ぶようにしましょう。
無添加で敏感肌でも安心
さらに敏感肌の人が白髪染めを選ぶときに押さえておきたいポイントは、無添加だということです。
添加物や刺激物となり敏感な肌の人にとっては炎症やトラブルの要因となってしまいます。
素手で扱えること
頭皮に優しいということは、素手で扱っても手肌に優しいという事になります。
敏感肌の人は、素手で使うことができるほど優しい成分だけを配合している白髪染めを選ぶようにしましょう。
敏感肌でも使える白髪染め4種
これからご紹介するのは、敏感肌の人でも安心して利用することができる白髪染め4種です。
今まで白髪染めをあきらめていた人、アレルギーや敏感肌の症状が出てしまうことが心配だったという人も安心して白髪染めをすることができます。
それぞれのメリットとデメリットをまとめましたのでご覧ください。
ヘアマニキュア
白髪用ヘアマニキュアを購入し、自分で白髪染めをすることも可能です。
ヘアマニキュアのメリットは、髪をコーティングして色を付ける方法のため毛髪内部へのダメージがない上、髪にツヤが出る点です。
白髪に悩むような年齢の場合、髪へのダメージによって髪のハリやコシ、さらには脱毛や薄毛に悩み始める人も多くなるため、髪へのダメージを最小限にすることができるのは大きなメリットだといえます。
しかしその反面、デメリットもあり、頭皮に付着すると頭皮が染まってしまう性質のため、染める時には十分に気をつける必要があります。
さらに頭皮から離して塗るという難しさもあるでしょう。
染色成分には発がん性のある成分であるタール色素を含み、そのタール色素が原因でかぶれる人もいます。
白髪用カラートリートメント
白髪染めとトリートメント効果の両方の側面を持った白髪染めです。メリットは何といっても、美容成分で髪をいたわりながら、同時に天然植物色素でしっかりと白髪をケアしていくことができる点です。
昨今、たくさんのメーカーから、ブラックやダークブラウン、ブラウンを中心に、新たな商品が発売され続けています。
髪の表層に着色するヘアマニキュアタイプなので全体の髪色を明るくすることはできませんが、クチナシなどの植物性の天然色素で色付けするので仕上がりが自然で、根元や部分染めにも使いやすいのもポイント。
また、トリートメントならではの補修成分や美髪成分を含んでいるので、髪の傷みを修復するヘアパックとしての効果や頭皮ケアまで期待できます。
デメリットとしては、髪や頭皮への優しさを追求した分、染まるまでの期間や時間をある程度必要とする点です。
徐々に色づいてくる、少しずつ目立たなくなるというスタンスで継続的に利用していく必要があります。
しかし敏感肌の人が白髪染めを選ぶなら、このトリートメントタイプが最もおススメだといえるでしょう。
白髪用トリートメントに染毛タイプの近い製品に「利尻カラーシャンプー」に代表される白髪用のカラーシャンプーがあり、毎日の洗髪で徐々に染まるシャンプータイプならトリートメントの習慣のない男性でもセルフ染めしやすくなっています。
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ヘナ(純度100%)
100%植物成分、天然成分で非常に髪の毛にも頭皮にも優しいのが、ヘナの大きなメリットです。
髪や頭皮に優しい上しっかりと染めることができるとして昨今注目度アップの白髪染めになっています。
ヘナを選ぶ際には、ピュアヘナと呼ばれる純度100%のものを選ぶようにしましょう。
また、ヘナの中にはインディゴなど色付きヘナも存在します。
こうした色付きのヘナの場合、化学物質が使われていることが多く、さらにヘナ自体もアレルギーとなることがあるため、念のため配合している成分をしっかりと確認し、パッチテストも行いましょう。
お歯黒式毛染め
非常に良く染まるメリットの反面、色持ちがあまり良くなくしっかりと白髪が染まっている期間が短いというデメリットもあります。
髪の毛や頭皮のダメージも少なく、一時的に染めたいという人にはメリットの方がデメリットを上回り便利だといえます。
しかし、お歯黒式毛染めにはかなり独特な硫黄のようなにおいが付きまとうということ、さらに髪の毛が次第に紫色っぽくなってしまうという大きな難点があります。
使い続けることで髪の毛がごわついてくるという点も注意が必要になります。
美容院で染める
美容院やカラー専門店で白髪染めをするという方法も、敏感肌の人が自分で染めるよりは頭皮や毛髪へのダメージが少なくて済みますし、アレルギーの心配も低くなります。
プロが染めるため、頭皮に薬剤が付かない、時間や染まり具合もしっかりとプロの目で見てもらえ、色持ちの良いムラのないキレイな染まり上がりを実現できます。
美容院でもかぶれることはある
美容院で使用されるカラー剤は、市販のものよりもかなり刺激やトラブルの原因となる成分が低く、白髪染めの際のトラブルを避ける事ができます。
しかしいくら低ダメージに作られているとはいえ、かぶれることもありますので注意しましょう。
お店によっては、ヘアマニュキュアやヘナカラーで染めてもらう方法もあるので相談してみると良いでしょう。
敏感肌に対応している美容院を選ぶ
また、お店によっては美容師さんに敏感肌だと伝えることで、敏感肌の人でも安全に施術できる白髪染めを提供してくれる美容室もあります。
行こうとしている店が、敏感肌に対応した白髪染めを行うことができるかどうか確認してから行くという方法もおすすめです。
第四のカラー「和漢彩染」
昨今サロン限定のカラー「和漢彩染」という、第四のカラーも注目されています。頭皮への影響やダメージを考慮して、非常に低刺激に作られています。
しかしヘアカラーの1/50程度のジアミンが含まれていることから、やはりジアミンアレルギーの人は使用することはできません。
まとめ
敏感肌の人の中には、これまで白髪隠しで白髪の表面に色を付けてごまかすしかなかった人もいるのではないでしょうか。
敏感肌でも工夫したり、成分をしっかりと確認することで、安全に白髪をきれいに染めることができます。
自分は敏感肌だからと白髪をあきらめていた人は、ぜひ敏感肌でも染めることができる白髪染めの方法やアイテムに挑戦してみましょう。
きれいに白髪を染めることでヘアケアが楽しくなり、美髪になると気持ちも前向きになります。
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