白髪が生えてくる頭皮の状態を改善する方法の一つに、「湯シャン」という方法があるのをご存じでしょうか。
水だけで洗顔するのが肌断食、その頭皮版です。宇津木流のスキンケアのひとつとしても知られています。
「湯シャン」は、手軽にできるだけでなく、今日からすぐにでも取り組む事ができる方法で、頭皮ケアとしても優れており、髪の毛や頭皮に一切負担をかける心配がありません。
今回はこの「湯シャン」について、より高い効果を発揮させるための取り入れ方などをご紹介していきます。
湯シャンの目的は、頭皮が本来持つバリア機能を取り戻すこと
湯シャンの本来の目的は、頭皮がもともと持っているバリア機能を回復させること。
湯シャンによって頭皮を若返らせ、頭皮の活動を徹底してサポートしていくことで、さまざまなダメージや加齢による白髪を予防し、健やかな素髪を手に入れることができるでしょう。
湯シャンって?
日本ではあまりなじみのない湯シャンですが、海外ではノー・プーと呼ばれて比較的一般的なシャンプー方法の一つになっています。
湯シャンの方法はいたってシンプル、お湯のみで髪を洗うことです。
日本で広く知られるようになったきっかけは、有名人で誰もが知っているタモリさんなどの芸能人が、実は自分も湯シャンをしているということを公言したことから始まりました。
昨今シャンプーの洗浄力がアップしている傾向があり、石油系の界面活性剤の強力な洗浄力によって頭皮に必要な皮脂まで根こそぎ落とし、皮膚の肌バリアを破壊してしまうような場合も多く見受けられます。
こうしたシャンプーによる皮脂の落としすぎは、余計に皮脂の過剰分泌を招き、毛穴の詰りや頭皮トラブルを引き起こしてしまう要因となります。
過剰な皮脂分泌や強力な洗浄成分や化学成分による頭皮刺激によって、色素細胞であるメラノサイトの働きが弱まり、メラニン色素が作られないまま髪が生える、つまり白髪を誘発する要因にもなってしまいます。
そこで湯シャンによって皮脂分泌を適正にし、本来備わっている頭皮のバリア機能を回復させ、頭皮環境を自ら整え頭皮の状態を健やかにすると、その結果として白髪の予防や抜け毛対策になり、その他の頭皮トラブル、髪の悩みも解決していくことが目的となります。
白髪には効果ある?
実際、湯シャンの白髪への効果ですが、もともと頭皮の状態や性質、皮脂分泌の量には個人差があり、人それぞれ頭皮の質は異なります。
そのため、湯シャンを上手く取り入れることができれば頭皮環境がよくなって白髪の改善につながることもありますが、肌質によっては頭皮ににきびができるなど逆効果になることもあります。
このように人によって頭皮環境や頭皮の質、皮脂分泌量が異なるため、いくら湯シャンが頭皮や髪の毛に良いからといって、かたくなに毎日湯シャンするというのではなく、より上手に生活に取り入れる方法を取る方が高い効果を期待することができるのです。
毎日シャンプーする文化は広告の影響だった!?
日本人の多くは毎日入浴時にシャンプーする生活が当たり前になっていて、ほとんどの人が一日一回の割合でシャンプーをしています。
しかしこの毎日シャンプーという文化を形成したのは、実は広告の影響であり、もともと毎日シャンプーするという文化はありませんでした。
むしろ世界のシャンプー事情を見てみると、毎日のようにきっちりとシャンプーするということが一般的になっているのは、日本だけといっても過言ではありません。
海外の国々では、逆に毎日シャンプーするという国の方が少ないといえます。
60年前のキャッチコピー「5日に1度はシャンプーを。」
実際少し前の日本では5日に1度シャンプーをするというくらいの割合で洗髪をしていました。
60年前のシャンプーのキャッチコピーでもうたわれているように、毎日シャンプーするということはまず無く、一週間に一度シャンプーすれば十分なくらいというのが一般的だったのです。
戦後、各メーカーから合成洗剤で作られたシャンプーが売り出されるようになりましたが、その4年前のキャッチコピーになると「ムチャです。大切な髪を…石鹸や洗剤で洗うのは」という、まだシャンプー自体の認知度が高くないことを示すものでした。
しかし1950年代にシャンプーが広まり始めると、シャンプーの回数は次第に増加傾向になっていき、1970年代に家庭用風呂が普及してくるころには週に数回シャンプーをするようになっています。
手軽にお風呂に入ることができ、お湯やシャワーの使い勝手が良くなるにつれてもともときれい好きだった日本人はシャンプーをする回数がどんどん増えていきました。
そして今現在となっては毎日シャンプーするということが常識となっています。
欧米人は今でも週に2~3日しか髪を洗わない
欧米人とはもともと持っている髪の毛の質が異なるため、同等に比較してみるということは本質的に無理ではありますが、欧米人の場合には今現在でも一週間に2回~3回くらいしか洗髪をしません。
これは髪質自体が毎日の洗髪に不向きであるという性質上の問題もありますが、やはり日本人よりも早くにシャンプーを取り入れていた国でさえ、毎日のシャンプーをするという習慣は持っていないのです。
湯シャンは万能ではない
今回ご紹介していく湯シャンですが、やはりこの湯シャンがどんなに髪の毛や頭皮に優しいからといって、向いていない人がいることも確かです。
湯シャンが誰にでも万能の効果が出るというわけではありませんので、その点は自分に合っているのかどうかしっかりと精査する必要があるでしょう。
自分ではよくわからない場合は、美容師など美容の専門家に、相談するのもよいでしょう。
湯シャンには向き不向きの肌質がある
湯シャンをして効果を得ることができる人は、もともと乾燥肌である人や、皮脂分泌量が減少しはじめる傾向にある中高年の人だといえます。
皮脂分泌量を適切にし、本来の頭皮の力をよみがえらせることができれば、頭皮に必要な皮脂分泌がしっかりと行われる頭皮環境を作っていくことができるからです。
逆に湯シャンにあまり適していない人、湯シャンが不向きな人は、もともとオイリーで皮脂分泌が盛んな人や若くて十分な皮脂分泌があるという人です。
湯シャンオンリーだと余計な皮脂が分泌しすぎてしまったり、必要ない皮脂をしっかりと落とすことができずに逆効果になる場合があります。
湯シャンではすべての汚れが落ちない
湯シャンは化学成分や洗浄成分などを一切使用しないため、髪の毛や頭皮の汚れがすべて落ちるわけではありません。
湯シャンで落とすことができる汚れは、チリやホコリ、皮脂。皮脂については、湯シャンの際のお湯の温度が高ければ高いほどよく落ちます。
一般的には湯シャンだけで、頭皮や髪の毛に付着している汚れの9割が落ちると言われています。
しかし湯シャンで落とせない成分もあることを忘れてはいけません。
整髪料やアウトバストリートメントは湯シャンではきれいに落としきれないので、シャンプーが必要となります。
白髪改善のための上手な湯シャン方法
ではここからは実際に湯シャンのやり方についてご紹介していきましょう。
上手な湯シャンの方法をマスターすれば、白髪を改善して若々しい見た目をかなえていくことができます。
①洗髪前のブラッシングは入念に行う
湯シャンをする前、髪を濡らしてしまう前にしっかりと行っておきたいのがブラッシングです。髪の毛が乾いている状態でしっかりとブラッシングしておきましょう。
この洗髪前のブラッシングには、髪の毛や頭皮についているゴミや汚れ、ほこりの除去、頭皮の皮脂を髪の毛に馴染ませて髪の毛を保護、さらに頭皮の血行を促進、という3つの効果に加え、湯シャンによるニオイの対策にもなります。
ブラッシングに適したヘアブラシは、竹櫛や、しし毛などの動物の毛で作られた柔らかいブラシです。
竹ブラシや獣毛ブラシがない場合には、なるべくブラシ部分が柔らかいブラシを選ぶようにしましょう。
毛量や、猫毛などの毛質によっても、向いているブラシは変わってきます。
②ぬるま湯でまずはじっくりと髪の毛や頭皮を流す
しっかりと髪をブラッシングした後は、実際にお湯で髪の毛を濡らしていきます。この際に使用するぬるま湯は、35度~38度くらいの低めの温度のお湯が良いでしょう。
普段シャワーを浴びている温度(40度くらい)だと、洗浄力が強すぎるためシャンプーをして皮脂を落としすぎてしまうのと同じ状態を作りだしてしまいます。
あくまでもぬるいくらいの温度のお湯で、髪の毛全体に浸透させる、たっぷりのお湯で髪をゆっくりと流すというイメージで行います。
③指の腹を使って頭皮をマッサージしていく
髪の毛や頭皮全体をしっかりと流した後は、実際に頭皮マッサージをする工程に入ります。この時心がけることは指の腹でマッサージするということです。
間違っても爪を立てたり、ゴシゴシと強い摩擦を与えないようにしましょう。
指の腹で頭皮の丸く円を描くように優しくマッサージしていきましょう。毛穴に詰まった汚れや余計な皮脂も取れやすくなります。
あまり長時間行ってしまうと、やはり皮脂を落としすぎてしまう恐れがあるため5分程度までにとどめます。マッサージが終わったら軽くぬるま湯で流しておきましょう。
④乾かす際にも注意が必要
湯シャンが終わったら髪の毛や頭皮を乾かす時にも注意しましょう。
タオルで頭皮をゴシゴシとこすってしまったり、髪の毛をバサバサと拭いてしまってはせっかくの湯シャンの効果を台無しにしてしまいます。
乾かす際には清潔なタオルで押さえる、タオルで髪の毛を挟むといった方法で水分を吸収させます。
その後ドライヤーで乾かす際にも、髪の流れに沿ってキューティクルをしっかり守るように乾燥させましょう。
湯シャンを上手に取り入れてみる
湯シャンを始めると、はじめはこれまでシャンプーを毎日して皮脂をがっつり落としてしまっていたときと同じように、頭皮から皮脂が分泌されてしまうため、頭皮のかゆみや皮脂が気になってしまうことが多いでしょう。
そうなると頭皮が気になってしまったり、スッキリしたと思えないために挫折してしまう人も多く見受けられますが、ここですぐにあきらめてはいけません。
湯シャンに慣れるまではシャンプーと併用しながら取り入れてみる方法もありますから、あきらめずに頭皮環境や白髪改善のためにもう少し頑張って続けてみましょう。
週に1、2回はシャンプー
上手に湯シャンを取り入れる方法として、まずは100%湯シャンにチェンジしてしまうのではなく、週に1回~2回くらいこれまでに行っていた普通のシャンプーの日を設けてみるようにしましょう。
週に1回か2回はスッキリとできる日がありますから、湯シャンを継続しやすくなります。
休みの前日だけ湯シャン
頭皮のべたつきやスッキリ感の無さが気になってしまう様であれば、休日の前だけ湯シャンをしてみるというのも良いでしょう。
平日はスッキリと地肌を洗い、休日などは湯シャンで頭皮や髪の毛をじっくりといたわることができます。
シャンプーはアミノ酸系のものを使う
今使っているシャンプーが高級アルコール系なら、アミノ酸系のものに変えるだけでも、頭皮や髪の変化を実感できるでしょう。
高級アルコール系のシャンプーは、頭皮を根こそぎ落としてしまい頭皮や髪の毛にダメージを与えている可能性が高いからです。
安全で低刺激なアミノ酸系シャンプー3選
アミノ酸は頭皮と同じ成分を含んでいるので、使い続けることで頭皮環境を整えてくれるのが特徴です。
▼潤いのあるツヤ髪へ!低刺激なアミノ酸系洗浄成分が髪を洗いながらダメージ補修。
haru黒髪スカルプ・プロ
▼天然成分100%で作ったオーガニックシャンプーなのに驚くほど保湿効果が持続!
Herb Garden(ハーブガーデン)
▼頭皮から、極上のサラ艶髪へ!髪と一緒に頭皮をはぐくむヘアケア。
パトロン ビヨンドシャンプー
▼頭皮にやさしいアミノ酸シャンプーまとめ
湯シャンするならトリートメントもダメ?
湯シャンをする際、シャンプーはもちろんですがリンスやトリートメント、コンディショナーの使用も控えましょう。
実はトリートメントやコンディショナーは、シャンプー以上に頭皮に影響があると言われています。
トリートメント剤には傷んだ髪の毛を艶やかにしてしまうほどの化学成分が配合されていること、さらにその化学成分に粘着力があり、髪にとどまることができるということを考えても、シャンプーよりもはるかに頭皮や髪の毛に残ってしまう成分であることがわかります。
さらに本来持っている頭皮回復力や髪の毛の修復力をそぎ落としてしまうことにもなります。
頭皮はもちろんのこと、髪の毛にとってそのコンディションをもっとも整えることができる成分は何でしょうか。
この答えは化学成分に頼ったトリートメントやコンディショナーではありません。頭皮から分泌される「皮脂」なのです。
皮脂は天然のトリートメントであり、最高のコンディショナーです。しかも髪の毛や頭皮に全く影響を与えない、この世で一番優秀なケア成分なのです。
湯シャンはその皮脂分泌を適切にするために行う方法なので、基本的にはトリートメントやコンディショナーを使用する必要は無いといえます。
ワセリンやオイルでヘアケア
どうしても髪の毛のパサつきや広がりが気になる場合には、ワセリンや天然由来のオイルでヘアケアしていくようにしましょう。オイルを使用する場合には、椿油やココナッツオイルがおすすめです。
椿油を使用する場合
椿油を使う場合には、髪の毛全体が完全に濡れた状態でつけるとよくまとまるようになります。濡れた髪全体にまんべんなくいきわたらせるようにしましょう。
ココナッツオイルを使用する場合
タオルドライ後ココナッツオイルを手の平に載せ温めます。しっかりもみ込むように毛先からつけ、最後手の平に残ったオイルを髪表面に薄く伸ばします。
トリートメントを使うなら、頭皮につけない
どうしても髪の傷みが激しくまとまらない場合には、トリートメントを使用します。
この際に注意することは、トリートメントを髪の中間から毛先につけるということです。頭皮につけないように気をつけてください。
湯シャン向きのヘアスタイルは?
湯シャン向きのヘアスタイルは髪質にもよるので一概には言えませんが、スタイリング剤をシャンプーで落とす必要があるヘアスタイルは湯シャン向きとは言えません。
ストレートヘアであれば手入れのラクなショートヘアがおすすめできますが、ロングヘアを維持したい場合はクエン酸リンスを使えば髪のきしみに悩まされる心配もありません。
湯シャンは、始めてしばらくはベタつきが気になることが多いものの、頭皮と髪に天然の油分が行き渡り、髪の傷みが減ることによって、クセ毛を活かしたヘアアレンジを楽しむことができるようになるでしょう。
湯シャンと白髪染めの相性は?
湯シャンを取り入れて頭皮が落ち着いてきても、一瞬にして白髪がなくなるわけではないので、避けて通れないのが白髪染め。
染める前後の念入りなシャンプーでこれまでの努力が水の泡にならない?染めた後の髪に湯シャンってどうなの?という疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
湯シャンとの相性は白髪を染める方法によって異なります。それぞれの染め方について、見ていきましょう。
ヘアカラー
白髪を改善するために湯シャンを取り入れるのであれば、ヘアカラー剤による白髪染めやカラーリング自体おすすめできません。
毛染めの染毛剤によって頭皮が傷み、白髪や薄毛が増える要因になってしまいます。美容院で染めても同じです。
カラーリング剤は一旦髪の色素を抜いてから入れる性質上、髪も傷みます。ヘアカラー後、2、3日は髪を洗わない方がいいですが、どうしても洗いたい場合は、シャンプーを使うよりは湯シャンの方が色落ちを防げます。
ヘアマニキュア
ヘアマニキュアにおける湯シャンの利点は、シャンプーを使わないことによって、色持ちがよくなること。
染めるときには必ずシャンプーをする必要がありますが、ヘアマニキュア剤は根元から離して染めるため、基本的にはヘアマニキュア成分で頭皮が傷むことはなくパッチテストも不要とされており、湯シャンとの相性は悪くないと言えます。
ヘナ
ヘナ染めの後、髪を洗うなら湯シャンにして下さい。また、ヘナ染め剤そのものに皮脂を吸収する作用があるので、日常のケアも湯シャンで十分で、湯シャンと相性が合うといえます。
ヘアカラートリートメント
白髪染めをする場合、ヘアカラートリートメントならお湯で洗い流すだけでいいので、他の白髪染めと比べて簡単に染められる上、湯シャンと相性が良いといえるためおススメです。
ヘアカラートリートメントは頭皮に付いてもかぶれることはありませんが、湯シャンは頭皮の健康状態を改善し、皮脂分泌を適正にするという目的で行っているため、ヘアカラートリートメントの化学成分で頭皮に刺激を与えてはいけません。
白髪を染める際には頭皮に塗りこまないように塗布することを心がけてください。
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まとめ
湯シャンは正しい方法で上手に取り入れれば、頭皮の状態の改善効果があり、白髪予防につながっていきます。
しかし人によっては湯シャンが向かない人、湯シャンをすることによって頭皮トラブルを起こしてしまうという人もいます。
自分の頭皮がどのようなタイプなのかという点、さらに湯シャンの正しい方法、湯シャンの上手な取り入れ方をしっかりと理解して、自分に合った湯シャンの方法を実践し白髪改善につなげていってみましょう。
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